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早退
今日も仕事だったのですが、このところめっきり暇だ。
何もする事が無い。
そんな中、女性社員の一人が社長とこんな会話をしていた。
「あの、すみません、昨日からなんか体の調子が悪くて…早退させてもらえますか？」
「お？何だ？風邪でもひいたのか？」
「いや、熱とかは無いんですけど、喉が痛いのと、…吐き気がするんですよ」
「おー、じゃあ、今日は帰ってゆっくり休んどきなさい」
「すみません……」
くそー、その手があったか！先をこされた！
僕も早退したい。
こんだけ暇なんだから、もう一人位帰ったって問題ないな。
となると、問題はどんな理由で早退するかだ…。
「体の調子が悪い」と言うのは、既に使われてしまっている。
いや、でも同じ職場に二人同時に体調が悪い事だって有り得なくはは無い。
よし！やはり僕も「体の調子が悪い。」で行こう！
うわ！ダメだ！さっきまで僕はビニール袋をパンパンになるまでかぶり、
ホウキとチリトリを武器に虫を追いかけ回していた所をみんなに目撃されている。
今の所、職場の中で一番元気だ。
何か他に良い理由は無いだろうか……。
僕は自分の調子が悪そうな所を隈なく探した。
ふと目をやると、袖のボタンがグラグラしている。
ん？これはいける
「ボタンの調子が悪いです。気になって仕事が出来ません」
うん、これはイイ！我ながら名案だ！
早速僕はボタンのグラグラを見せながら社長の元へと向かった。
素通りした。
残業もした。